
1985年に女性差別撤廃条約が日本で発効した日にちなみ、7月25日を「女性の権利デー」と宣言し、全国でのスタンディングなどさまざまな取り組みが行われました。そのひとつとして東京では「女性の権利を国際基準に!司法にジェンダー平等を!」と題するパネルディスカッションを開催し、160人以上が参加し盛会となりました(会場:連合会館33人、オンライン133人)。
開会あいさつでは、実現アクション世話人で国際地位協会共同代表の山下泰子さんが女性の権利デー宣言文*を読み上げ、続いて内閣府男女共同参画局の林伴子局長から寄せられたビデオメッセージでは、これまで以上のスピードで改革をすすめていくと伝えられました。
パネルディスカッションでは「司法におけるジェンダー平等の実現」をテーマに、実現アクションの浅倉むつ子共同代表をコーディネーターに4人のパネリストが熱く語りました。
川尻恵理子弁護士は、一連の選択的夫婦別姓の裁判紹介と今年6月の最高裁判決の裁判官意見の解説をもとに、判事の半数が女性であれば別の結論が出るのではないか考察。女性差別撤廃員会のさらなる勧告や選択議定書の批准に期待を寄せ、条約は私たちの人権を世界水準に引き上げてくれるものであり、司法判断の根拠として条約を法令として活用していく必要性を提起しました。
国連女性差別撤廃委員会委員の秋月弘子さんは、事実上の平等を促進することが条約の目的であり、そのためにも女性の司法へのアクセスと参加を高め、ジェンダー視点を取り入れた判断を促す必要があると説きました。条約を国内法に取り入れ、たとえ日本がまだ批准していなくても選択議定書のもとでの法体系を法律家の研修に取り入れ、人権基準を国際化していくという広い視野こそ、まさに日本の国際化に求められると述べました。
同様の考え方は、日弁連自由権規約個人通報制度等実現委員会事務局長である中島広勝弁護士からも示されました。かつての最高裁判事の「日本の人権条約は神棚に祭られている」という言葉を引用し、条約を裁判規範としていく実践が、日本のいまの人権状況の閉塞感を打ち破っていくことにつながると強調。会場は強く共感しました。
4人目のパネリスト、早稲田大学教授の石田京子さんは、司法におけるジェンダーバランスが社会の構成を反映したものになっていることで、司法機関の正当性が認識され信頼度が増すにもかかわらず、日本ではいまだ法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)の女性割合が3割にも届いていない。現状では2名しかいない最高裁の女性判事を各小法廷に2人ずつ、最低6人にすることを含め、司法のジェンダー平等を実現することは、女性だけでなく日本全体のためにも必要だと語りました。
最後に、日本女性法律家協会副会長の犬伏由子さんが、司法にジェンダー平等を実現する道筋を確認できたと閉会のあいさつを締めくくりました。
奇しくも、さまざまな人権侵害に関わる不祥事の連続となった東京オリンピックの開催中となった7月25日。女性たちの声に耳を傾け、制度を変えることで、日本の人権は国際基準になる、その変化を「世界は見ている」(秋月さんの言葉)という確かな事実を再確認した「女性の権利デー」となりました。
*「7.25女性の権利デー」宣言文はこちら

