1985年7月25日に女性差別撤廃条約が日本において法的効力を発したことに基づき、7月25日を女性の権利デーとして、今年も昨年に引き続き、全国各地で行動しました。東京では、女性差別撤廃条約実現アクション・国際女性の地位協会・日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の共催でシンポジウムが開催されました。

会場の文京シビックセンター・シルバーホールには63人の参加者、オンラインでは実に222人、計285人という多くの参加がありました。
シンポジウムは、実現アクション共同代表の浅倉むつ子さんが条約と選択議定書についてあらためて解説。全国の地方議会で展開されている選択議定書批准を求める意見書採択運動をさらに広めることが呼びかけられました。直近で発表されたジェンダー・ギャップ指数116位は、実質的には後退であることを確認し、二人のパネリストの話につなぎました。

■上西充子さん「参院選を振り返って 私たちの課題を考える」
7月10日に行われた参議院議員選挙を振り返り、女性当選者数は過去最多となり女性議員数が増えた一方で、野党勢力の敗退や維新など新勢力が増加した状況についての分析がありました。投票率低迷のなか、上西さんは市民が主体的に動くことで投票率がアップした事例を紹介。2021年衆院選での香川1区小川淳也、東京9区山岸一生、さらには今年6月の岸本聡子候補当選の杉並区長選では、組織票の動員ではなく、多くの市民が個人として選挙活動を行うことで変化をもたらしたという報告でした。
国会パブリックビューイングを開催してきた上西さんは、選挙に行くだけでなく議員が議会で何をしているのかを知ったうえで評価することが必要と訴えてきました。主権者が「こうあってほしい」と考えた投票行動こそが、社会を変えるのだというお話は、政治は政治家や政党でなくまさに「市民の手にある」ことを再確認できた希望あふれる内容でした。

■大澤真理さん「メッキも全部はがれた『新しい資本主義』」
昨年、岸田首相が打ち出した「新しい資本主義」。しかし、これまでの安倍政権のトリクルダウンの発想と変わらないどころか、相対的貧困率について「日本にはなじまない」と言い、今年6月に公表された「骨太の方針」では、「貧困」の文字が大幅に削減され、低所得層の置き去りが強まっていく可能性さえあると、大澤さんは言います。
EUでは、低所得者層や女性、子どもへの社会的投資を重んじるボトムアップの発想が経済成長戦略でも要となっており、高齢女性の低年金や女性の低賃金が大きな要因となっている日本の貧困・格差の現状を見ても、ジェンダー平等の視点を重視することが求められているということです。
女性の権利を主張し獲得していくことは、社会全体にとっても重要であることをお話から確認することができました。
会場の若い参加者からは「今日のこのような話にあるような、主権者教育を学校でなぜできないのか」という発言もあり、多くの課題を考えることができた中身の濃い2時間となりました。
*この日を中心に、全国でさまざまな団体によるイベントも展開され、東京ではシンポ当日の夕方、後楽園駅前で選択議定書批准を求めるスタンディングも行われました。